『闇屋』#Twitter300字SS お題【買う】

 やあ、いらっしゃいお嬢さん、今日は珍しい闇が入ってるよ。

 ふと気づくと、薄暗い店の中にいた。声のする方を向くと、この店の主人——頭が土星、白いシャツに黒いズボン、デニムのエプロン——が、小さな鳥かごを手に持っていた。かごの中には『闇』がいた。
 これじゃ見えにくいだろう、ほれ。店主は懐中電灯を手に取り、スイッチを入れた。
 「……!!」
 闇はおびえたように震えている。その闇、いただくわ。店主がかごから出した闇と引き換えに、私は銀貨を三枚手渡した。
 こわくない、こわくないよ。私は震える闇に声をかけ、厚い布でくるんで抱きしめた。家路を急ぐ私の胸に、闇の温もりが心地よかった。

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