ここは静かな書庫。掘り出されたものたちの燐光が、闇夜でも足元を照らします。
「ねえ、約束覚えてる?」 妻が言った。 「……ああ、覚えてるよ」 「若かったわ」 「後悔、してるのか?」 「……愛してるわ」 妻は目を伏せた。 「僕だって愛してるさ、だからこの家を買った、50年もローン組んで」 彼女は首(続きを読む)