【感想】Kingsman Golden Circle

なぜだろう、前作より爽快感がない……

以下、ネタバレ含む感想と覚え書き

前作。
映画館を出た私はピンと背筋を伸ばして歩いていたはずだ。
barならぬtearoomの窓際席に腰掛け、ホットのダージリンを注文し、平和な外を眺めながら姿勢良くアフタヌーンティーを嗜んでいたはずだ。
それがどうだ。
どうもスッキリしない。

つまらなかったのか?
いや、そんなことはない。
エグジーの成長、Kingsman本部の爆破、ハリーの復活、ポピーの鮮烈なキャラクター、マーリンの「カントリーロード」…
時折差し込まれる小ネタに笑い、グロテスクな殺し方に目を細め、アクションに次ぐアクションにワクワクした。
だのに、なぜかスッキリしない。

前作のラスボス、ヴァレンタインの計画は携帯端末に仕込んだマイクロSDが兵器になった。
さもありなん、と納得した。
まあとにかく周りのほとんどの人が携帯端末を持っている、いじっている。
必需品だ。
それが兵器となって殺し合いが始まったら。
わかる。

今作のラスボス、ポピーが手がけているのは麻薬だ。
これはいま、私の身の回りに溢れているものではない。
ニュースで流れるのは芸能人や有名人の麻薬使用による逮捕であって、私自身は見たこともないし、周りで出回ってる話も聞いたことがない。
しかし。
今作では、麻薬に仕込まれた毒が、麻薬使用者をあぶり出すことになる。
それは「《あの》エグジーの親友」であり、「《強い自制心をもつはずである》statemanのテキーラ」であり、「《信頼おけそうな》大統領補佐官」であった。
そして「《強く優しい》王女ティルダ」がエグジーとのいざこざで麻薬に手を出す場面で決定的になる。
これは、私にとっても他人事ではないのだ、と。
誰もが落ちる可能性のある穴なのだと。

映画は思想には触れない。
ただ、毒を受けた者は全身に青い筋が現れたあと、奇妙に踊り出す。
観客がその滑稽さに複雑な表情をしている間に、かれは硬直し、やがて死を迎える。
スタジアムに収容された麻薬使用者たちが、檻の中で踊る。

解毒剤が配布されて、皆、死を免れる。
「もうオレ、二度とドラッグやらないよ」
エグジーの親友たちは抱き合って泣く。

本当に……?

やるせない。
何も解決した気がしない。
おそらく、スッキリしないのはそこだ。
エグジーの、ハリーの、マーリンの犠牲が報われる日は、来るんだろうか。

信じるしかない。
労働者アパルトメントから巣立ち、スウェーデン王子となるエグジーのように、
「人は変われる」
のだと。

(了)

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