麗らかな春の10歳

「ねえおかあさん見て!玄関にツバメが来たよ!巣作りするかな?ひな生まれるかなあ?あーダンボールとか下に敷いた方がいい?落ちたら大変だよね!!」
「気が早いわよ」
「だよねえ」
咲(さき)と名付けた娘は、願いどおりよく笑う女の子になった。
11年前の今頃、私の腹ん中で写真を撮られた体長1cmの生物がこのヒトになったという事実が不思議でならぬ。

私たちは玄関先の階段に腰掛けて、ツバメの出入りを眺めた。
相変わらずマシンガントークを続ける彼女は、ぼんやりしていることの多い私とは、完全に違うヒトだ。
けれど、その笑顔を見るにつけ湧き上がる温かな何かが、私を母にしてくれた。
麗らかな春の10歳、この子も、私も。

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