まえの学校の友だち

ぼくは大イチョウの木の大きなウロの前へ立った。
いつものように、幻界に残ったあの子との交換日記をウロの中にしまう。
手早く地面に魔法陣を書いた。転移魔法陣はもう、目をつぶっていても書ける。
右手をかざして呪文をとなえる。
魔法陣が緑色にかがやく。
そのまま手をウロへ寄せる。
と、白い光が漏れてきて、ぼくの魔術が成功したんだとわかる。
ほう、とため息をついた。
ウロの中に、ぶかっこうな白い羊のぬいぐるみがあった。
シープウォードの毛でできているようで、両手で包むとあくびがでる。

カードがついていた。「ねむれないって、日記に書いてたから。誕生日おめでとう」
あの子の顔を思い出して、ぼくはすこし、ほにゃっとした。

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