インフルエンザ・ウィズ・ヴァンパイア

「理人さん!お返事、できますか…!」
小夜子は居間に横たわる理人の耳元で声をかける。
彼はうっすらと目を開けた。
「ああ! いま救急車を呼ぼうかと」
「…大丈夫、ですよ」
「さっき飲んだお薬、人間用だったんです! あそこの先生は信用ならないわ…ちゃんと《ヴァンパイア》だって問診票にも書いたのに!『ただのインフルエンザですよ』なんて軽く仰って!」
頭から湯気が出そうな小夜子を見て、理人は小さな声で笑った。
「笑い事じゃありません!…もう。やっぱり、時山総合病院に行くべきだったわ」
「スペイン風邪なら100年前にかかってるはずですよ…あれはハタチの頃だったかな」
小夜子はため息をついて総合病院の診察券を探した。

(了)

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