【感想】『心射方位図の赤道で待ってる』ねじれ双角錐群【短篇集】

どんないきさつで興味を持ったのかは忘れてしまった。
昨年、小説を書く方との交友が増えたので、おそらくリツイートされてきたんだと思う。

タイトル格好いいなー。わかんないけどメルカトル図法とかの仲間でしょ。説明読んだけどやっぱよくわかんなかった。
任意の地点の上に大きい板を置いて、地球をグシャッて潰して写しとる図法なのかな。

サークル名も調べた。
立体がすきなひとたちなのかなぁ?と思ったら、どうやらSFのひとたちらしい。
どうでもいいけどウィキペディアの説明にある『凧形』はわからない人も多くなるからやめた方がいいとおもう。
こんな形の凧っていまどきある??

でも代案があるわけではないのでそっとしておく。

 


 

昨年の秋ごろ、私は自分の書き物のルーツを探ってて、昔好きだった筒井康隆みたいなものを書きたいなぁと思っていた。(結果、あまりそーゆーものは書けなかったんだけど)
そこでSFアンソロジーであるこの本の紹介文を思い出して、買ったんだった。
読んだ。
めちゃめちゃ面白かった。

私がどんな作品が好きだったかというと、
‪筒井の純文学寄りなやつ…虚人たちとか、残像に口紅をのような実験的小説、あるいは、幻想の未来や霊長類南へのような終末モノ。
村上春樹のかえるくん東京を救う、村上龍の走れタカハシ、69、海の向こうで戦争が始まる…など。
この辺りの作品に‪お心当たりのある方へは、自信をもってこの本をオススメします。
‪もちろん、お心当たりのない方もどうぞ。

 


それでは、簡単に作品ごとの感想を。
この感想は、ひとえに作者さんへのエールであります。
ぜひまたワクワクさせてほしい、その気持ちだけで書いていることを、最初にお伝えしておきます。
もし、ネタバレのようになってる部分があったらごめんなさい。文責は燐果にあります。

 


‪『神の裁きと〜』
冒頭からびっくりした。
‪じゃんけんで負けたことのないナツキの話。‬
‪リスト案外読みやすかった。物語の構造の可視化。接続語は要らない子やったんや。‬
‪おとぎ話とナツキが交差するエンディングは、なぜかわからないけどせつなかった。‬
読みながら同じように指を折って、ああ終わりだ、と感じたからかもしれない。

 

‪『山の神さん』
ツイートでお見かけして読みたいなぁと思った、‬
‪「重ねますか」‬
‪「重ねない」‬
‪が読めてよかった。げらげらした。‬
‪あと女の子がめっちゃ可愛かった。‬
‪この本の中でいちばん明るくて爽やかな作品が、ふだんのツイートからは想像できない笹帽子さん作でそこがいちばんびっくりした。‬
‪軽やかな上手い文章で声だして笑っちゃったし、転送時のフラグメント描写は格好いいし、最後もとても好きな終わり方だったからくやしかったです!!!

 

‪『囚獄啓き』‬
‪死刑に代わる刑となる《精神的地獄》を作る閻魔である、「あなた」の話。‬
‪終始重い。明かされない詳細を想いながら読み進め、それ自体が地獄のような、地獄開発ものがたり。‬
‪怖い。
しんしんと怖い。‬
‪終わらない地獄こわい。‬
「心はきっと均されていく」
というのは救いのはずなのに、しんしんと怖い。

 

‪『杞憂』‬
‪サイバー何ていうのこれ??‬
‪めちゃくちゃ格好いいからサイバーと名のつくジャンルが好きな人はとにかく読んでほしい。
‪ハンドラ族戦士の杞憂、シャーマンの焼き脛、ふうん…へえ…うん?女子工生リフレ?ライチ、ナツメ…ほう…えっろ!えっろ!!…ふぁ…うわ…うわああかっけええええええ!‬!!
‪期待を裏切らないオチまで行けるかは、各自読んでお確かめください。
何を言ってもネタバレになっちゃいそうでね。
ワクワクしてほしいから。

 

‪『キノコジュース』‬
‪現実ってなんなんでしょうね。‬
微妙な表現で、この世界はおそらく…ということを実感させてくる。
読後思わず手を閉じたり開いたりしてじっと見る。
光る苔のくだりの不味不味しさをリアルだと感じる。
ほんと現実って何。
「嫌だが、俺は俺でしかなかった」がせつない。‬
神はいるのかいないのか、あるいは誰なのか。
‪ファンタジーMMOをやったことないんですが、好きな方にはさらにあちこち刺さるんだろうなというお話。‬

 

‪『蟹と待ち合わせ』‬
叙情的な風景が詳細に描写されているのに奇妙なのは、それがポストアポカリプス世界だからか。
彼ら/彼女らの、私たちからは遠く離れた、けれど真摯な生がしっとりと染み込んでくる。「せめてこの生の肉体を通した情報に基づいて生きなければ、それは嘘だ!」
もし私があの世界にあるなら、私もあんなふうにありたい、と思える一人称複数の主人公たち。
「僕たちは海岸線を越境する」からの、美しい大団円。
《神待ち》に相応しく神々しいラストが好きです。

 

『ブロックバスター』
物語を書く私や、キャットとハル、母と私、彼女とわたしと綾取り…いくつかの語りが、大亀の物語を中心に、並行して進められる。
それらが集中する一点、つながる世界。
つながることを喜ぶべきなのかはわからない。
「つくりものもほんものも関係なしに」「なめらかに守られた世界を次々に突き破って」の潔さは格好いいとおもった。

 


 

以上、拙い感想ではありますが、とても面白く思索できたことをここにご報告します。
またワクワクさせてほしいです。
ありがとうございました。

追記
この表紙とタイトルでなければ手を伸ばさなかったであろう、とおもいます。
インパクトのある表紙で、すき。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。