息継ぎが下手

 今でも覚えているのは、幼稚園の卒園式だ。
みんなそれぞれ誰かとの写真を撮ってもらっているのに、僕にはその相手がいなかった。いじめられていたわけではなく、そこそこ仲の良い友達もいたのだが、ぽつんとひとりになってしまうと居心地悪く、母の手を引いて早く帰ろうと促した。

 それから僕は、必死で人付き合いを学んできた。
僕にとっては文字通り『学び』であり、自然に身についたものではなかった。ただひとりのパートナーと出会い、一児の父となった今も、やはり人付き合いは苦手だ。

 そして今日も僕は人の波の中、ぱくぱくと息継ぎしながら進んでいる。
泳いでいるようには見えない、不格好なフォーム。
それでも僕には上出来だ。

(了)

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