星回廊、にて。

燈籠町で最近人気なのが『星回廊』という名の和食店。
水路にせり出したデッキの上で、星を眺めながら食事を楽しむことができるのだ。
理人と小夜子もまた、夜空と、時折水路に現れる水の精霊《ウンディーネ》たちを眺めながら、懐石を食べ終えた。
日本酒も呑んだ。理人はよく喋る。
「私は酔っていますね、小夜子さん」
「ええ、酔っていらっしゃるわ」
小夜子は小紋の袖で口元を隠すと、クスクス笑った。
「タクシーを呼びましょう」
5分もしないうちにワイバーンがデッキの端に飛来する。
ノームの運転手が小夜子の手をとりベンチのような鞍へ乗せ、続いて理人も乗り込む。
「紅が丘3丁目までお願いします」
タクシーは、燈籠町の夜空へ飛び立った。

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