文フリと新作のあれこれ

カテゴリ:感想, 記録

投稿日:2022-11-24

11月20日、文学フリマ東京が開催されました。
今回から呼び方が変わったそうで、「文学フリマ東京35」です。
入場者数が過去最多とのことで、まあえらく混んでおりました。自陣が入り口に近かったこともあり、いつ買い物に行けるんだろうというぐらい、通行が途切れなかった。ありがたいことです。

会場は、第二展示場にも展開されておりました。以前第二展示場で、1階と2階に分けてやったことあったよね? そのときは、3時頃からわりと閑散としていたように記憶していて、今回こんなにこっち(第一)が混んでいたら、あっち(第二)はガラガラなのかな?などと思いながら行ってみると、あっちもえらく混んでおりました。っつーかあっちのほうが会場狭い?分、密集してたかも。もう大丈夫なの三密。(そういえば、入場時のアルコール消毒もなかったけど、よかったのかな……)

今回の燐灯書庫として特筆すべきは、出品数の少なさですね。
『宵闇の溢れて朝シリーズ』の新刊と既刊、あとはおなじみ『フワつく身体』の委託本のみ、という少人数クラスでした。
ゆえに、いつものような徹夜とか、入稿に向けて慌てるとか、宣伝で胃が痛くなるようなこととかがなかったからか、頒布数はちょびっとだった。

でも、Twitterの紹介写真を見て、なんだこりゃ?と思って来てくださったり、お友達に頼まれて……とお遣いで来てくださったり、あとは書き手の方々が顔を見に来てくださったりして、暇を持て余す時間はなかったんですよね。これもまたありがたいことです。

今回は宵闇シリーズ

今回は宵闇シリーズでいこう、と思ったきっかけは、「MidJourney」でした。
ご存じの方も多いかもしれませんが、「MidJourney」というのはイラスト作成AIの名前です。イメージを表す英文を入力すると、ネット上の画像を参考にしてその英文を表現したイラストを作る、という仕組みです。
イラスト作成AIについては、その作成方法が著作権違反に当たらないかが話題となりましたが、「MidJourney」に関する限りでは、かなり沢山の画像を混ぜ捏ねしてるように思います。
たとえば、竜人を作る過程でこんな感じに生成されてしまったり。

マッドサイエンティストが作るようなクリーチャーが

『宵闇の溢れて朝シリーズ』には、兵士として培養されたキメラ獣人が出てくるので、そういった狂った生命操作を踏まえると、これって画像の優生思想なのかなあなんて思ったりもした。【生まれたけど生かされなかったもの】は、きっと創作者なら誰でも経験していて……
んんんーちょと話題がずれるので戻ります。

プロモビデオが先

そんなわけで、MidJourneyくんのおかげでイメージイラストがいくつかできたので、宵闇の世界観を見せたいなと思いました。Canvaの動画作成機能を使ってみたかったので、テキストとイラストでまず作ってみたのがこんな感じ。

シンプルで悪くはなかったと思うんですけど、まあ、文字読みの人が作った感じではあります。
で、音楽があったらいいなと思いまして、わかばボカロPのたかし君に作ってくれないかと打診しました。
彼は主にLINEのオプチャに生息していて、コミュニティの人に頼まれてボーカルとオケを重ねるようなミキシング的なことから、ボカロ曲・ゲーム音楽のコピー(というにはオリジナル要素が多い)をしたりしてました。
で、「狂った世界なので、狂った感じの曲をつけてほしい」とこの動画を渡したところ、ちょっと宵闇の本と時間をくださいということで本も渡して待ってましたら、数日のうちに動画に手を加えて音をつけてくれた。動画にはエフェクトをガンガン使って、説明文は短く、音楽もきっちり合わせてきた。すごいね、さすがつべネイティブだね! (でも、フォントがMS明朝だったのと、わたし的にちょっと譲れない説明部分があって、そこは手を入れさせてもらった)それがこれ。

そんなこんなで出来上がった素敵なPVに、「今回の主役は宵闇だな」と決めたわけです。

「読み手と繋がれるデザイン」

さて、新刊をどうするか。
宵闇に関しては、いくつかの物語があって、どれを出そうかと迷いました。
文フリ出店時にはいつも「読み手と繋がれるデザイン」をと思っていて、それが『あなたとわたしをつなぐ本』という1冊しか頒布しないシリーズ(あなたとわたしをつなぐ本 1作目を終えて 参照)だったりするんですけど、宵闇には別のアプローチがあるんじゃないか、と考えたんですよね。

コロナ以降、リアルにも、Twitterのタイムラインにも、しんどそうなひとが増えたように見えた。私自身も、今はたまたまそれほどしんどくもないけども、例えば仕事とか、家庭とか、人間関係とか、お金とか、【いま大丈夫なこと】がひとつずつ剥がれ落ちていったら、それでも元気に楽しくなんてやってられないわけで。何か、未来の目印というか、セーブポイントになるようなものを作りたいと思った。
それで、「少しずつ物語が追加され、それを自分で綴じていく本」なんて面白いかな、と。

小説の内容はね、好き嫌いあるかもしれない。でも、「次の文フリ(イベント)で続きを作って待ってるね!」て言いたかった。

この本の表紙、『綴込表紙』と言うんですけど、昔は伝票綴じたりするのに使ってましたよね。あと、学校の出席簿とか。これに小説を挟むのって、使い方的にはちょっとズレてますよね。このズレには物語上の意味があります。この先も楽しみにしていただけたら嬉しいです。

タイトルはスタンプを作ってホイルフレーク。
ホイルフレークは、圧着時周りにもキラキラが付いてしまうんですけど、それがまた好きなので、スタンピングリーフよりこっちを選びました。

通販については、通販希望の声も頂いたので検討することに。
プラットフォームで迷っているので、常設は難しいかも。通販イベントでの頒布を考えます。

文学フリマ東京

今回はこの新刊と既刊『ライフ・ゴーズ・オン』を宵闇シリーズとして頒布しました。こちらは、旅行者から見た新刊とは逆に、クロスデルタに暮らす者たちの心情や由来を綴った短編集になりますね。笹幡みなみさんに頂いた感想がこちら→(http://【感想】『ライフ・ゴーズ・オン』 燐果 https://sasaboushi.net/blog/2020/06/27/1678/) 笹幡さんは、たぶんこのサイトに来てくれるような方が好きになるタイプの「基本的に光属性の同人作家」なので、ぜひブログ読みに行ってみてくださいな。

それから すと世界(@sutosekai)さんの『フワつく身体』を委託として置かせていただきました。
『フワつく身体』は、平成時代に起きた失踪事件を捜査する女性刑事が主人公のミステリーなんですけど、私がずっと推している本です。この先、何かの出来事をきっかけにして「平成を振り返ろうよ」ってことがあるんじゃないかと私は思っていて、(平成から令和に変わったときが「そういうとき」だったと思う)「そういうとき」にこの本を必要とする人がきっといる。だから、ずっと頒布のお手伝いをさせていただいています。(面白いから読んでほちい→御本人による『あとがき、或いは深川環はなぜ、ただの巡査長であらねばならなかったか。』https://note.com/sutosekai/n/n483fa06facce )

今回、イベントに向けてあまり気合を入れすぎないようにしたのよね。
宣伝もいつもなら義務感でやっていたところがあるのだけど、今回は最低限。新作も書けるとこまで、と思っていたから徹夜はなし! 徹夜してTRC行ったから眠くてなんも覚えてない、なんて年もあったからね!
イベント参加、という締切がないと作品が仕上がらないのは、もうたぶん私の性質なので、イベント合わせで思い出を残さなきゃ!走れ!!とケツにセルフ鞭を入れるのは仕方ない。でもそれでイベントを味わえないのは本末転倒なんだよなー、と思うようになってきた。
それも踏まえて次回までには、リアルと干渉しない程度(仕事の方が読めない状況になってきたので……)に、もう少し力を入れたい。積読崩したい、文舵ももう一回やり直したいし、宵闇の次回新作は下読みに出したりしたいなー。

そんなわけで、備忘録、長くなってしまいましたが、このへんでおわります。
Twitterで宣伝をリツイート・いいねしてくださった皆様、ご購入いただいた皆様、いつも相手をしてくれる書き手やクリエイターの皆様、ありがとうございました。
これからも生暖かく見守ってくださるとうれしいです。

燐果