ここは東の最果て。切り立った断崖の遥か下に、白い波が現れては消える。 この高さだけをみても、大昔、身投げの名所だったという話は理解できる。ましてや、満月の夜ならばその遺体は人魚に弔われるのだとか、波間…
さらに表示 夜を掬う —宵闇の、溢れて朝[序章]—タグ: 2015
2 ー マリア
その運命の日、あたしは屋台村からみんなと反対方向へ逃げてから、誰よりも早く教会の裏口をくぐったの。 教会なんておせっかいなところ、ほんとは行きたくなかった(ママは敬虔なクリスチャンだったけれど、あたし…
さらに表示 2 ー マリア1 ー ラウル
その頃、オレの生きる街ではしょっちゅう、大人たちが喧嘩をしていた。 例えばバスを待つ列。 例えば屋台のテーブル。 最初は、並び順だの肩がぶつかっただのオレにもわかるような因縁つけに始まって、そのうち「…
さらに表示 1 ー ラウル