大抵のことは愛でカタがつく。【4】BL

2017-12-04

「ポーズ集のモデル?」 「そう。あ、裸ね」 僕はメガネをずり上げた。 「いいんですか、僕、がりがりですけど」 サブカル系出版社に勤めるタカヤさんは、手を振って、ビアグラスをあおった。 「いいのいいの!セッちゃんがカワイイ(続きを読む)


大抵のことは愛でカタがつく。【2】匂い

2017-05-01

「例えば?」 僕はグラスを磨きながらセツに尋ねた。 彼はカウンターに座って、いつものように頬杖をつき、左手の爪を眺めながら答えた。 「玉」 「ほう、ほう、なるほど。理解した。じゃあね、……ま、ま、ま……卍固め」 「普通に(続きを読む)


帰りそびれたサンタ

2017-05-01

「サンタさん、来なかった……」 「……コウジ……」 うつむいて呟く小さな背中に、かける言葉が無かった。 息子に気づかれないように小さくため息をついて、彼女は胸の中で夫『だった』奴を罵った。 ——『仕事』で徹夜だったなんて(続きを読む)