作家にありがちな、文友とのエピソードをネタにしたエッセイのタイトルをつけてみたかった。 それだけです。 でもせっかくだから、ちょっと書いてみましょう。 菊屋八朔氏(@kikuya_log)とは、たぶん…
さらに表示 八朔さんの事タグ: 2018
食すれど – 狐火の唄 –
ここは櫻乃郷、竜の墓場。 死にかけの竜が墜ちてくる。 女狐が、小さな家に住んでいる。 怪我した猟師と、住んでいる。 「竜が堕ちると、そなたはなぜ泣くのだ」 「わかりません…悲しいわけではないのです、縁…
さらに表示 食すれど – 狐火の唄 –近況とか、予定とか
9月も月末です。 やっと夏休みの宿題、終わりました。 7月に参加希望を出した、アンソロジーの原稿を書き上げました。 締め切りは明日です。 正確に言うと、まだ確定稿じゃありません。 でももう、ほぼこのま…
さらに表示 近況とか、予定とかさよならの黄昏
日課のようだった夕立がいつのまにか無くなって、帰宅の電車内から見える夕焼けは、透明感を増していた。 ムッとする暑さで実感はないが、もう秋なんだろう。 夏は終わった。 これから全てが眠りに向かう。 そう…
さらに表示 さよならの黄昏いつかの夜
僕に帰る場所などないことを知っていて、君は訊ねたんだ。 「いつまでここに居るの?」 「ずっとさ」 「ずっと……?」 そう言うと彼は、ケタケタと笑い転げた。 彼は僕のクローンだから、僕がずっとここに居る…
さらに表示 いつかの夜火星生まれ、温室育ち
「お兄ちゃんのバカ!あたしだってスパー…スパーゲッティー?ぐらいできるもん!!」 「なんだよ!作れるならやってみろ!!」 妹はフライパンを投げた。 くるくると回って飛んでくるそれを僕は避けた。 フライ…
さらに表示 火星生まれ、温室育ちされど日々は過ぎて
秘密を作った。 彼女が「ねぇ、」と切り出せば、それは誰にも《秘密》の《秘め事》なのだった。 僕が彼女と同じ会社にいるのはあと1ヶ月だから、こうして毎晩のように何処かへ出かけて《秘め事》を…
さらに表示 されど日々は過ぎて添いとげる理由
「ねえ、約束覚えてる?」 妻が言った。 「……ああ、覚えてるよ」 「若かったわ」 「後悔、してるのか?」 「……愛してるわ」 妻は目を伏せた。 「僕だって愛してるさ、だからこの家を買った、50年もロー…
さらに表示 添いとげる理由よくある光景
食卓越しの二人の顔は、渋かった。 「父さんは反対だ。人間界なんて、そんな野蛮で危険な!」 それを制するように、母は私へ訊いた。 「どうしても、行きたいのね」 私は頷く。 「海の生活が嫌いなわけじゃない…
さらに表示 よくある光景夜明けの軋み 5話 春ふたたび、玉蘭
ふと、理人が顔を上げて呟いた。 「桜はまだ咲きませんね」 彼は日当たりの良い廊下で、本を読んでいた。 淹れた緑茶を彼に差し出しながら、小夜子は長いスカートの中で足を崩す。 「今は玉蘭かしら」 「ギョク…
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