セント・ウァレンティヌスからの祝福
小学校の正門は、「関係者以外立入禁止」と、ルビのふった看板がつけられている。 コウジは鍵のかかったそこを、器用によじ上る。 「入って平気?」 「だって、おれ『かんけいしゃ』だよ?」 「ま…
さらに表示 セント・ウァレンティヌスからの祝福帰りそびれたサンタ
「サンタさん、来なかった……」 「……コウジ……」 うつむいて呟く小さな背中に、かける言葉が無かった。 息子に気づかれないように小さくため息をついて、彼女は胸の中で夫『だった』男を罵った。 ーー『仕事…
さらに表示 帰りそびれたサンタ踏み出すのは足、繋がるのは… 【後編】
祭りの会場から離れても、商店街には紅白の提灯が並んでいる。 マコは田端と歩きながら、そこに書かれた店や会社の名前を、一つずつ眺めていった。 「どうして赤と白はめでたいのかしら」 「さあね……赤なんて、…
さらに表示 踏み出すのは足、繋がるのは… 【後編】踏み出すのは足、繋がるのは…【前編】
駅前マンションのエントランスから出てきたマコは、通りの祭囃子にため息をついて、もうすぐ夫となる人の手を握りなおした。 彼はマコの不機嫌そうな顔に気づき、背を丸めて覗きこむ。 「どうしたのマコちゃん?」…
さらに表示 踏み出すのは足、繋がるのは…【前編】贄の仔育(こそだて)
或る山深い峡谷に、春の一ヶ月だけ、陽のあたる谷があった。一ヶ月、芽吹き花咲くうちにも桜が最も優美なので、『櫻乃郷』と呼ばれていた。 深く険しい山の中、そこに踏み入る人間は道に迷った猟師だけ。 麓の村で…
さらに表示 贄の仔育(こそだて)狐火の唄
或る山深い峡谷に、春の一ヶ月だけ、陽のあたる谷があった。一ヶ月、芽吹き花咲くうちにも桜が最も優美なので、『櫻乃郷』と呼ばれていた。 深く険しい山の中、そこに踏み入る人間は道に迷った猟師だけ。麓の村では…
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燐果と言います、趣味の文字書きです。 ぼんやりとしたもののかたちを確認するために書いています。 – ・タグにある年表記は、読み物の初出年です。 ・タグにある【 】は、シリーズ名です。 ・成人向けカテゴ…
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